マネージャーの皆さんは部下の育成はどうされています?前回まではLow Performer(いわゆる、仕事のできない部下)の事例をご紹介してきましたが、今回は中堅どころの部下をどう伸ばすかについてご紹介します。
これができると、あなたのチームの全体の成活性度と成果が上がりますよ。
鈴木マネージャーがチームにコーチングを導入する
鈴木さんは営業チームのマネージャーです。部下の育成には頭を悩ましています。最近ようやく営業成績も悪く意欲も少なかった部下が育ち始めました。
まずは仕事の基本的なことを自分で計画を立ててコツコツとやってもらうことが功を奏したようですね(下記参照)。
>「できない部下」の指導方法~行動目標設定編~
仕事で基本的なことが出来て来たら、部下の興味あることを徹底してやってもらい得意技(強み)にすることでさらに自信がついてきました。
>「できない部下」は強味を身につけさせる方法
次の課題は伸びてきた部下をさらにどう育てるかです。つまり中堅どころのメンバーをどう育てるかです。
平均的な部下と面接すると「目標はそこそこ、頑張りもそこそこ」でした。こういう部下たちをどう伸ばすか考えました。
ちょうど人事部主催のコーチング研修があったので鈴木さんは参加し「これだ」と思いました。早速、コーチングのエッセンスを半日×2回かけてチーム内で講習会を開きました。鈴木さんがにわか講師です。部下たちは素直に講義を聴き実習に参加していました。
まずはコーチングの基本を教えます。例えば「答えはクライアントが持っている」と言うコーチングの哲学、相手の話を遮らずに最後まで聴く傾聴、相手の考えや感情を明らかにする質問。相手を受け止めいいと思う点をフィードバックする承認のスキルなど。
その後、コーチングのフォローをお願いしました。つまり2人ペアになって毎月目標を決めたことの進捗確認を相互コーチングとして半年間やってもらうことにしました。
次はその会話の例です。年の近い小川さんと山田君がペアになって話しています。
同僚同士の相互コーチング
相互コーチングの効果は絶大
3か月経って二人とも意欲が上がってるのがわかりました。営業成績も上がって来ています。部下が育ってきたなあと鈴木さんは感じています。何が良かったのか職場のメンバーに訊いてみました。
1.1か月やったことをコーチングの前に整理するので良いまとめになる。
2.上司でなく同僚なのでうまくいかなかったことでも緊張せず気軽に話せる。
3.相手から承認してもらうと嬉しい。
4.同僚目線でアドバイスくれるので参考になる。素直に聴ける。
5.同僚が頑張っている姿を聴くと、自分も頑張ろうと刺激になる。
チームの凝集性も上がったと思われます。つまりお互いの信頼感が強まり気軽に相談できるようになりました。
なぜこうなるのだろうかと鈴木マネージャーは考えました。
心理学の本を読んでいて答えが見つかりました。
オキシトシンなんです。オキシトシンは別名、愛情ホルモンと言われます、さらに幸せホルモンとも言われているホルモンで、女性が出産した時や授乳する時に脳下垂体から分泌されます。これが出ると赤ちゃんに対して愛情が湧いてきます。これは女性だけでなく男性にもあります。相手に対して愛情が湧いてくるのです。
動物実験で色々なことが分かってきました。実験用のラット(大型ネズミ)の一匹を取り出してつついたりとか電機ショック与えたりするなどのストレスを与えた後に、仲間のラットのグループに戻します。すると仲間のラットたちが寄ってきて毛づくろいをして「癒し的行為」をします。その時のストレスのあったラットを調べるとオキシトシン値が上がっている。つまり世話をされて幸せ度が上がっています。それだけでなく、「癒しをしたお世話ラット」のオキシトシン値もあがっています。つまり、世話をされた方もした方もオキシトシン値が上がって、幸せな気分になるということがわかります。
鈴木さんの部下も同じですね。自分の話を親身になって聴いてくれる相手に信頼感が出ます。オキシトシンが出て幸せな感覚になります。反対に相手の会話を親身に聴いていたら相手が喜んでくれ、それを見て幸せ感がでます。チーム全体が信頼し合う良い雰囲気になったということが起きたのでした。
まとめ
1.チームメンバーの成長具合が平均して来たら、相互コーチングが効果的です。
2.方法はまずメンバーにコーチングの基礎を学んでもらいます。そして実際に半年間、ペアになって相互コーチングをやってもらいます。
3.上司対部下とは違う、同僚同士のコーチングで、月間目標に対してやってきたこと、やれなかったことが率直に話し合いができ気づきが増します。同僚からの承認、励ましで意欲が上がります。同僚からの率直なフィードバックで前向きに変えていこうと言う気になります。
4.ペアだけでなく、職場全体がお互いに信頼しあう雰囲気の良い職場になります。
マネージャーの皆さんは、ぜひ実践してみて下さいね。
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