苦手で嫌いなタイプの部下対応法その2 「あー言えばこう言う、なかなか指示に従わない」部下

マネージャーにとって、指示に従わない部下って嫌ですよね。特に仕事の問題点の発見は得意だけど、指示しても「あー言えばこう言う、なかなか指示に従わない」部下は、マネージャーの研修では苦手(本音で言うと「嫌」「めんどくさい」)という声が2番目に多く聞けました。指示をするのに神経と時間を使いますね。大勢の部下がいる前で、素直に指示に従わない部下の挙動を見せられると士気にも関わりますね。
今回はこのタイプの部下との接し方をご紹介します。これらの方法がわかると上司としての指示力がアップしますよ。

指示に従わない部下 3つのタイプ

そもそも指示に従わない部下には大木加えて3つのタイプがあります。

緻密で理屈っぽくて、質問が多い慎重なタイプ

一つは考え方が緻密で理屈っぽくて、慎重。仕事に取り掛かるのに納得するまで石橋をたたくように質問をしてきます。「こういう場合どうするんですか」などの質問が非常に多く、新しいことや今までやったことのない仕事にはすんなりと取り組まないタイプです。仕事はできる部下ですが、上司のマネージャーにとっては非常に神経を使い、事前事後に時間がかかります。仕事の目的や背景、方法をきっちりデータを基に説明し、質疑を時間をかけて行うと納得して仕事に取り組んでくれます。くわしくは過去のブログでご紹介していますのでご覧ください。
「やたら細かい質問が多い」部下 苦手で嫌いなタイプの部下対応法その1 

上司をおどす強気のタイプ

二つ目は自分に自信がありプライドが高いので、上司より優位に立ちたがる部下です。「俺が俺が」の自己アピールが大きいタイプです。時には「実は自分はこういうことを知っていますよ。マネージャーご存知ですか?そういうこと知らなくて指示するんですか?」と言って上司をおどすこともやります。実際はそんな深く知っている訳ではないのですが、とかく一言多く自分の優位をアピールし素直に指示を受けたがりません。素直でやや大人しい性格のマネージャーなら指示に従ってもらうのは苦労します。
これも別のブログに詳しく説明していますのでご覧頂けたらと思います。

上司をおどす強気の部下 苦手なタイプの部下対応法その4

ふざけるのが好きなお茶目な反抗タイプ

三つ目は普段の職場の休憩時間ではジョークを言って面白い人柄で、スポーツやテレビの話題では盛り上がるのに、仕事の指示をすると反射的にイエスを言わなくて説得に時間がかかるタイプです。時には上司と部下のやり取りがふざけているみたいに感じてしまうので、真面目な上司としては「もういい、君には頼まない」と言ってしまいたくなります。すると「いやー、やってもいいかな」と言うので話がややこしくなり、扱いが難しいタイプです。
は「お茶目な反抗型」と名付けていますが、今回はこのタイプについてご説明します。
これらがわかると上司としての部下の説得の方法についてレベルアップしますよ。

*引用 拙著 >「苦手なタイプの部下の指導育成のコツ」(セルバ出版)

「お茶目な反抗型」の部下、販売会社の事例

ふざける部下販売会社の事例でご紹介しましょう。
天野孝雄さん(仮名)は営業企画課に所属しています(36歳)。元々は営業課に所属していましたが、育成のためのジョブローテーションで1年前に営業企画課に異動してきました。好奇心が強く色々な情報を知っている上に仕事が早いので、この仕事は向いているのではないでしょうか。

普段はテレビや新聞・雑誌で世の中の事をよく知っていて話題豊かです。冗談も多くニコニコしていて、職場のムードメーカーなのですが、ただ仕事の指示をすると途端に色々な理屈を言って素直にやってくれない、手を焼く部下の一人です。

課長のあなたが天野さんに指示をしている場面をご紹介します。

あなた:(真面目な顔をして)営業本部から先ほど連絡があったが、2か月後に新製品の発表イベントをする。会場は取れている。これから会場レイアウト、内容を詰めていくんだ。天野君には営業がお客様に配るPR用のチラシとイベント開催をお知らせするホームページ案を作って欲しい。

天野:(ヘラヘラ笑って)私がですか?他に急ぎの制作物があるんですが。どうしようかな?

あなた:(ちょっとムッとして)営業課の連中も待っているんだ。至急頼むよ。これがイベントの企画書だ!

天野:あれ、課長!これ字が間違っていますよ。あ、ここも字が抜けている。

あなた:小さいことはいいんだ。(大声で)いいからやるんだ!!

天野:(ニタニタ笑いながら)我々の仕事は影響が大きいからミスなくやって欲しいって、おっしゃっていませんでしたっけ?

あなた:いいからやるんだ!(大声で)

天野:困ったなあ、どうしようかな(と言いながら企画書をじっくり見ている)。

あなたはぶすっとした表情でミーティングルームを出て行きます。自己嫌悪です。
「彼には指示がスムーズに行かない。話しも長くなるなあ。自分もついイラっと来て感情的になってします。どういう風に話せば良かったんだろう」と苦い思いをかみしめています。

「お茶目な反抗型」の特徴

「お茶目な反抗型」の特徴(短所)

お茶目に反抗する部下

このタイプの部下は知識が豊富でアイデア豊かですが、下記の短所があり上司としてなかなか扱いに骨が折れます。

・指示を素直に聴かない。反抗する。
・皮肉や上げ足取りをするので周囲の人は居心地が悪くなる。
・なかなか決めない。
・物事を白か黒か、2者択一に捉える。
・物事を必要以上に難しくする。

*イラストは鈴木景子氏 作成

「お茶目な反抗型」の良い点

良き発見者
・問題点に気づくのが早い。
・優れた調査者。
・忠実。
・粘り強い。
・ユーモアがある、ジョークを言ったりふざけたりするのが好き、一緒に遊ぶと楽しい。
・エネルギッシュ。
・合う職業;調査報告者、探偵、批評家。

「お茶目な反抗型」のファミリーヒストリー

両親は躾に厳しく教育熱心で支配的。小さい時から塾に行かされた。友達と野球をしたかったが、禁じられた。
表立って反対するとひどい目に合うので、理屈を言って時間稼ぎをして塾に行く時間を遅らせた。勉強しろと言われたが、教科書の裏に漫画を置いて読んだ。隠れた反抗をしたくなった。
何かをやれと言われると反射的に反抗したくなる。中学・高校に行っても隠れた反抗は続いた。
親のプレッシャーが強いので、表立っては逆らわずいわゆるいい学校に行けたが、特にこれをやりたいということがない。

「お茶目な反抗型」の部下との接し方

「お茶目な反抗型」の部下との接し方

(1)遊び心で接する。一緒になってどうやると楽しいか考える。
(2)「君といると楽しいね」

タブー(やってはいけない)

(1)「どっちにするのかはっきりさせろ」と強制する。
(2)厳しく強制することはタブー。意地でもやらないという泥沼に落ちいる。
(3)なぜこの仕事が必要かと理屈で説明すると屁理屈で返って来る。

「お茶目な反抗型」の部下との接し方 成功事例

躍る上司

課長のあなたが天野さんに指示をしている場面をご紹介します。

あなた:(いたずらっぽい顔で)営業本部から面白い話が来たんだけど、君にやっておうか、どうしようかな。

天野:(ヘラヘラ笑って)どうしたんですか?何か問題でも?

あなた:イベントのチラシを作る話だけど、天野君には言おうかなどうしようかな?忙しいんだろう?
これが、これがイベントの企画書だけど見せようかな、どうしようかな?

天野:課長!見せてくださいよ。面白そうじゃないですか?

あなた:どうしよかな(ふざけて)。急ぎの仕事だけど君忙しいでしょ(企画書を目の前でひらひらさせて)

天野:(企画書をパッと取って)やったー、取りましたよ(嬉しそうに)。ふむふむ、なりほど、面白いな。あれなんだか、文字が抜けているぞ!

あなた:いいから、いいから!やらなくてもいいよ。

天野:じゃあ、やりますからね。いや、やめておこうかな!(と言いながら企画書をじっくり見る。メモもする)

あなた:いや、やらなくていいよ(笑顔で)。

天野:(チラシの企画を始める、ニタニタしながら) やらないですよ。来週初めにラフ案を出せばいいですね。

結果として予定より早く、素晴らしい顧客勧誘用のチラシが出来上がりました。ホームページ用のPRサイトもインパクトのあるものでした。

まとめ

「お茶目な反抗型」タイプの部下には
(1) ユーモラスな雰囲気で接し、遊び感覚で仕事の指示をする。ジョークやふざけた態度はこのタイプには効果的。
(2)「やらなくてよいよ」と言うと、このタイプの部下は自ら反抗することから自由になる。反対に自由意志としてやりたくなる。
(3) このタイプの部下には仕事の強制や理屈での説得はつい反抗したくなるので延々と時間がかかると考えるべき。

この対応をやれば、このタイプの部下はますます優秀な能力を発揮するでしょう。あなたもチームのメンバーも楽しく仕事が出来ますよ。

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。国内外1500人のリーダー元気に課題遂行や部下マネジメント強化の研修を行ってきた。
日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
お客様の現場に入り問題解決し、「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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