初めて部下を持ったらTAを学ぼう!!

会社で初めて部下をもって接し方に困っていませんか?
一見素直だけど言ったことしかやらない20代の若い部下、何かと文句を言うベテランの年上の部下など色々なタイプの部下がいますね。マネージャーになって初めて部下を持った方にはTA(交流分析)を学ぶことをおすすめします。
人づきあいが苦手で、部下とどう接して良いか悩みのあるマネージャーにはお勧めです。

TAとは何か

TAとはトランザクショナル・アナリシス(Transactional Analysis)の略で、日本では交流分析と訳されています。以降、TAと呼ぶことにします。
TAは精神分析の創始者として有名なフロイドの流れをくむ、カナダ生まれのアメリカの精神分析医エリック・バーン博士(1910~1970年、下記写真)によって開発された新しい臨床心理的な分析のシステムです。
エリック・バーン博士

TAは誰でもわかるような非常にやさしい言葉を使って、人間心理や対人関係を深く分析しているので、臨床分野だけでなく一般の人々までアメリカでは爆発的に広がりその後世界中に広まりました。
日本では1970年代に九州大学医学部心療内科の池見酉次郎教授によって紹介されました。その後、TAは医療界だけではなく産業界や学校教育、家庭教育、スポーツ心理学などの各分野にも広がって行きました。
私の恩師の故岡野嘉宏先生は日本の産業界にTAを導入された代表的なおひとりです。

TAのねらい

TAのねらいとするところは「自分自身が本来持っている能力に気づき、その能力の発揮を妨げている色々な要因を取り除いて、本当の自分の能力の可能性を実現して生きる」ことにあります。
エリック・バーン博士はそうした生き方をすることを「自律性を達成する」と言っています。そしてそのためには次のような3つの能力を高めていくことが必要と説いています。

1.自己理解と気づき

自分が今どんな状態かに一瞬一瞬気づくことです。つまり、自分の言動、行動、考え、感情、対人関係のありかたについて「今ここで」気づいていくことです。気づくことで自己理解が深まって行きます。自己理解が深まればそれだけ他者を理解出来るようになり関係も良くなります。

ちなみに2020年春から新型コロナ感染対策のため企業では新しい働き方として在宅ワークが増えて来ました。自宅で働く中、会議はリモート(オンライン)スタイルが増えて来ました。意外なことにそれに合わせてパワーハラスメントが減ったと言われています。

リモート会議では発言している自分の顔もパソコンのディスプレィ上で見ることが出来ます。リアルの会議では「お前、何やっているんだ!」と叱責するマネージャーが、リモート会議ではディスプレィに映る、眉間にしわを寄せ目を開いて怒る自分の顔が映るので「あ、こんな怖い顔をしているのか、これはいけない」と冷静になることが多いからだそうです。
自分への気づきと言うのは心の中に自分を映すディスプレィ、鏡が増えたようなものですね。
PCで怒るマネージャー

2.自発性

親や先生・先輩、上司から「これ、やりなさい」「やった方がいいよ」と言われてやるのは自発性ではありません。
周囲の状況、自分の欲求に従って、「やりたいこと」「やるべきと思ったこと」「やった方が自分や周囲に役立つ」と考え、あらゆる可能性の中から選択し、自分で意思決定して行動し、自分で責任を負うことが自発性です。それは他人や自分の犠牲で行うものでなく、行動して一種の自己肯定感と清々しさを感じるものです。

3.親密さ

人と真実の関わり(かけがえのない相手と思うこと)を持ち、親密な感じを交換し合って自分の中にわき起こる自然な温かさ、ぬくもり、慈悲(やさしさ)の気持ちなどを実感して生きていくのは素晴らしいことです。そのためには
自分の表面的な仮面やプライドを捨て、相手に無条件の暖かい関心を持ち、心を開いて「今ここ」の率直な気持ちを伝えていくことが必要です。
寄り添う

TAの哲学

1.人はみなOK、私もOK、あなたもOK

ここで言うOKとは優れている、問題がないと言うことではなく、そのままのあるがままの状態で存在して良いと言うことです。人はそのままで存在する価値があり、愛される存在であり、よりよく生きる力を持っているという肯定的、人道主義的な立場に立っています。自分が上手くいかないことがあっても駄目だと思わずそういう自分もいていいんだと思う心境が「私はOK」です。
同様に自分の相手で、嫌だなあとか問題あるなあと思いながら「話し合えばわかるだろう、いつ変わっていくだろう」と存在を認めるこてとが「あなたもOK」という考え方です。

2.人はみんな考える能力を持っている

思い込みや他者に縛られずに、自分で考えてよいと言うことです。考える能力はある場合は隠れていて見えない場合がありますが、存在することが前提なのでその部分を探して発見することが出来ます。発見すればそれを育てていくことができます。

3.自分の人生は自分が決める。変えたいと思えば変えることができる

自分の生き方は自分で決めて良いと言うことです。「自分が人生の主人公だ」と言うことが言えます。
TAや再決断療法で教えていただいた故野間和子先生は次のようにおっしゃっていて私は感銘を受けました。
「人生は笹舟のようなもの。急流に奔流されどこへ流されるか、頼りない存在に思える。だけどよく見るとモーターがついている。モーターを使えば、上流にもどんどん上って行ける。川を下って広い大海で地平線を見ることもできる。時には静かな湖畔に行き昼寝も出来る。自分が人生の主人公だ。」

4.「過去と他人は変えられない」

有名なTAの哲学です。「過去と他人は変えられない、変えられるのは“今ここ”の“自分”だけ」があります。
私たちは「あー、あの時こうしておけばよかった」「どうしてあんな馬鹿なことをしたんだろう」と過ぎた過去を後悔することがあります。また「あの嫌な上司に何とか変わって欲しい」「この生意気な部下、何とか変わって欲しい」と思うことがありますね。

TAでは過ぎた過去ではなく「今ここ」の自分を変えていくことに焦点を当てます。また他人を変えるのではなく、「自分」を変えることに焦点を当てます。

もっとも私の経験ですが、過去の嫌な体験も今の自分に気づきがあり、経験したことにも意味があったと物事の認知が変わることがあります。「あの時は大変だったけど、あれがあるから今の自分があるんだ」と起きた出来事は変わらないものの、出来事の意味合いや感情が変わって来ます。同じように今は苦手に感じる上司や部下であっても、自分の生き方、接し方などの行動が変わることで相手が変わることがあります。
さあ、「今、ここの自分を変える旅」にこれからご一緒しましょう。

TAの理論体系

TAの理論構成は次の通りです。

1.自我状態分析

「自分とはこういう自分である」これをTAでは自我状態と言います。
「今ここで」自分がどんな状態であるのか、考え、感情、行動・態度、対人関係などに気づくための枠組を自我状態分析と言います。自我状態分析では、親、成人、子供と3つの異なった自分が自分の中にいて、場面場面で顔を出すことを明らかにします。

2.やり取り分析

私たちの人間関係では、スムーズに行くやり取りやうまくいかない行き詰りのやり取りがあります。自我状態分析で明らかになった3つの自我状態を使って、私たちは日常他者とどういう風に関わりを持っているか、上手くいかない場合どうしたらよいのかを考える、わかりやすい枠組みが「やり取り分析」です。
説明する

3.ストローク

TAではストロークは人間の心身の生命維持に必要不可欠な要素としています。ストロークとは自分や他人に存在を認める働きかけの事を言います。実際にストロークがないと心身の病気や発達不全になる事例があります。
部下がやる気になって目標を持ち自発的に行動するようになるのはこのストロークが大きく影響してきます。ストロークが満ちた職場はコミュニケーションが活発で新しいアイデアが出てきます。

4.ディスカウント

ストロークとは反対に、相手の存在そのものを無視すること、または存在を過小評価=値引きすることをTAではディスカウントと言います。他者からこれをされるとやる気がなくなりますので、職場ではこういう行為がないように注意する必要があります。
またディスカウントは職場で起きているトラブルなどの事実を見ないもしくは軽視することになるので、成果が出ないばかりが大きな損失に繋がることになります。その意味と具体的な行動、ディスカウントにならない方法を学びましょう。

5.人生の基本的態度

自分と他人に対しての基本的な信頼感の態度を指します。
基本的な信頼感を自分と他人に対して持てる人は、人生の途中で困難や障害、挫折に出会うことがあっても、自他に対しての信頼を失わず、自分は大丈夫、やり抜ける、やり直せると思い、くじけずコツコツと前向きに進んでいけるでしょう。
反対に自分と他人に対しての基本的な信頼感が持てない人は、社会的な成功にもかかわらず、いつも自分は一人、喜びや悲しみを分かち合える人がいないと言う孤独感、何か物足りない、これでいいのかという不全感、いつも不愉快な後悔・罪悪感のある毎日や人生を送るのではないでしょうか。
笑顔のマネージャー

6.ゲーム分析

私たちは自分の行動や対人関係でついやってしまう、終わった後モヤモヤした感じを味わうことがあります。それは自分でも知らず知らずに繰り返し繰り返し取ってしまっているある種の行動パターンです。「ああ、またやってしまった」と言う苦い思いを繰り返します。
これは職場の中の上司や部下、関連職場、お客様だけでじゃなく、家庭内の家族、友人たちとの間で繰り広げられます。このパターンが終わった後、自分も相手も嫌な感じになります。
TAではこれを心理的ゲームと言います。相手とどういうパターンで入って行き、展開されるかの分析が「ゲーム分析」です。非生産的なやり取りなので、どうやって心理的ゲームに入るのを防ぐかを共に考えます。

7.時間の構造化

私たちは、1日、1週間、1か月、一年そして自分の一生を仕事や遊び、交遊、趣味、休憩など様々な使い方で構造化しています。この時間の使い方をTAではどのようなストロークを求めて、あるいはどのようなストロークを避けて時間を使っているかの観点から検討しています。つまりストロークをどのように受けるのか時間を使っているかで、人生のパターンが決まってきます。こうした考え方に立って、自分の時間の使い方を分析してみるのをTAでは「時間の構造化」と言う理論にしております。

8.人生の脚本分析

TAでは、人の一生はちょうどドラマや映画、お芝居のようなものだと考えています。ドラマやお芝居には台本・脚本があるように、人にはそれぞれ脚本があり、人生の舞台で無意識にその役割を演じていると考えます。
この人生の脚本は私たちが子ども時代に両親や周囲の人々との関係で起きた経験が影響しています。子供時代から思春期のどこかでの出来事に際して子供はある種の決断をし(幼児決断)、同じような体験に対してその決断を強化するリハーサルを経て、人生脚本は完成して行きます。その後、その生き方の脚本、役割に従って生きていきます。この脚本は強烈な体験がないとなかなか書き変われることはありません。
自分はどのような脚本を持っているのか、どのようにしてその脚本が出来上がったのか、その脚本を書き変えるにはどうしたらよいのかに気づいていく枠組みが「人生脚本分析」になります。

今後このブログではTAの職場への応用をシリーズでご紹介していきます。
今年8月に刊行された拙著も事例が多くわかりやすいと言われており、お勧めです。
ミレニアル世代の部下を待つマネージャー必携
~交流分析によるマネジメントの教科書~

 

まとめ

部下との関係を良くしたいと思われる方はTA(交流分析】がお勧めです。。
1.自分の心理状態、行動パターン、感情の持ち方、対人関係に気づくことができます。
2.ぎくしゃくしがちな苦手な相手とのやり取りがスムーズに行くようなやり方を学べます。
3.部下や身近な人がやる気になるような言葉かけ、態度など学べます。
4.意識していないのについやってします行動や人間関係について気づき、変えることができます。

これらをマネジャーが気づき、実践していると部下は自発的になります。マネジャ―自身も心身とも健康で前向きに楽しく毎日を過ごすことができます。
チームワーク

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。国内外1500人のリーダー元気に課題遂行や部下マネジメント強化の研修を行ってきた。
日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
お客様の現場に入り問題解決し、「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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