部下への説明が苦手な管理職はこの3つの法則を知らない!

このブログは「部下に仕事を任せるのが苦手な経営者、管理職」対象に書いていますが、第一回は「腹を決める」、第2回は「見極める」。そして第3回の今回は「部下に説明する」をテーマにしました。部下に仕事内容を説明するのが不十分な経営者、管理職の数は多いと思いますが、このブログを読めば説明するポイントが把握出来ます。

なぜ部下に仕事内容を説明しないのか?

なぜ経営者や管理職は部下に充分仕事内容を説明しないのでしょうか?
答えは二つ。
一つはあなたが優秀な経営者であり、管理者だからです。かつてあなたが部下だった時にあなたの上司は丁寧に説明してくれなかったでしょう。優秀で自立しているあなたは苦労しながらも上司の意図することを勘を働かせ推測し手探りで調査し勘所をつかみ、遂には難しい仕事を達成してきたでしょう。だから自分もそうだったから、部下に対しても十分説明しなくてもわかるだろうと思うのではないでしょうか。

二つ目の理由は平均的な経営者、管理職に多いのですが、任せる仕事を部下に説明する時間が取れないことです。任せる仕事を具体化して部下に説明する時間とエネルギーがもったいないと考えるからでしょう。
いずれにせよ、実際の部下はあなたほど優秀ではありませんし、自律的でも意欲が高いわけではありません。達成のゴール、目的がはっきりしない仕事だと部下はやる気をなくして途中であきらめてしまうかもしれません。すると部下に任せてもだめだ、自分でやった方が確実だと思って任せない悪循環になってしまいますね。それではいつまでたっても部下は育たない。あなたも多くの仕事を抱えて疲弊します。だからこそ、上司であるあなたは正しい説明の仕方を学び部下に仕事を任すトレーニングを必要があります。

何を説明するか?

説明する管理職
仕事を部下に任せるためには、ゴール(目標)、目的、リソース(納期、予算)、方法を伝える必要があります。ゴール(目標)は部下にやって欲しい仕事の内容のことで、達成イメージが第3者の目に見えるかどうか、つまり判定できるレベルかどうかです。定量的なのが望ましいですね。
実験装置の例でご説明します。前号でご紹介したように仕事を部下に任せますが、こういうことが期日にできていると良いという期待成果と言います。

例1 実験装置の期待成果(目標)
M 1.素材の純度の精度が○○ミクロンであること(現行の10倍の機能)。
M 2.実験結果が△分で判明すること(現行装置の30%能力アップ)。
W 3.取り扱いが簡単なこと(今年入った新入社員が操作可能)。
W 4.装置の保守が社内で出来ること、またはフリーメンテナンス。
MとWとあるのはMは達成必須の目標(Must)、Wはできればやって欲しい(Want)目標です。上司の各項目に対する要望度が違うのメリハリをつけました。

例2 実験装置の導入目的は次の章で説明します。

例3 実験装置のリソース(納期・予算)
時間  8月社内承認、12月導入
予算  1億円
他   先輩の山田チーフのアドバイスをもらって良い

例4 実験装置選定の留意事項
1. 複数の装置メーカーから情報収集してメリット、デメリットをまとめること。
2.当社の複数の既存製品を実際にこの装置で実験して実用可能かどうかを検証しておくこと。
3.職場内でこの装置を使う人の意見・要望を聞いておくこと。

目的・背景を説明する

笑顔で電話

目的・背景の説明が実は一番重要です。
何のためにこの仕事をやってもらうかが目的であり、なぜこの目標達成が必要かの背景を伝えることを意味します。特にベテラン社員は目的を伝えるだけでゴールを自らイメージ出来ます。任されているというモチベーションも上がります。より現場の作業に詳しいので管理職の指示よりもきめ細かい目標設定になる場合が多いです。またベテランでない社員も任される仕事の重要性が分かりより成長していきます。

例5 実験装置導入の目的・背景

1.市場の素材に対して顧客から純度の要求精度が年々上がってきていて(10%/年)。現在の検査装置が検出出来ないレベルの精度を求められる
今後顧客の精度要望はさらに上がると予想される(営業担当情報)
2.実験のスピードアップが必要。実験装置の処理能力が不足しているので現在は技術者が残業せざるを得ない。
3.新入社員が増えたので、装置の取り扱いを簡単にして習熟を早めたい。現状ではベテラン操作者に仕事が集中し残業が多いので、新入社員はじめ他の課員にも操作が出来るようにしたい
4.現状では装置の保守はメーカー任せである。急遽、調子が悪くなった時はメーカーを呼ばねばならず検査業務が中断される

笑顔で電話する

説明する際の留意点は部下が理解できるような内容になっているかどうかです。相手の知識量、理解力、関心に合わせて説明する必要があります。あるホテルの例ですが、こういう説明をされるとわかりやすい、なるほどと思った事例をご紹介します。
始めて訪れる土地勘のない場所の初めて泊まるホテルに行くのですが、地図を見てもよくわからないのでホテルに電話しました。
フロント「今、何が見えますか?」
私    「○○というビルの看板が前に見えます」
フロント「わかりました、ではそのビルに向かって右側に進んでください。二つ目の信号に来たらまたお電話ください」
私   「二つ目の信号に来ましたよ」
フロント「ではその信号を左に曲がってください。途中100m行くと公園があるのでそれから50mです」
私   「ああ、ホテルの看板が見えました、ありがとうございました」

徹頭徹尾お客様の目線に立っての案内であり、説明される側は迷うことなく到着した事例です。部下に任せる仕事の説明をする際、説明する前に一度立ち止まってこの説明で部下は理解できるだろうかと自ら確認するとことをお勧めしたいと思います。

やって見せ、言って聞かせて、させてみて

山本五十六 写真と言葉

経営者や管理職の部下育成について座右の銘を聞くと多くの方が次の言葉(短歌)を上げて来られます。
「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ。」
第2次大戦中の山本五十六 連合艦隊司令長官の言葉です。海外の実情に明るく、決断が速い。部下の育成にも熱心で人望の厚いリーダーだっそうです。
皆さんは続きの句があるのをご存じでしょうか?
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず。」
立派な言葉ですね。
実はこの言葉にオリジナルがあるのをご存じでしょうか?

初心者に教える OJT事始め

造船 アメリカ

第一次大戦前の米国のお話しです。戦争前で急に大量の仕事が入り、造船所61か所で、10倍の作業員の補充が必要になりました。職業訓練所で時間をかけて訓練していては間に合いません。責任者のチャールズ・アレンは造船所の現場ですべての訓練をすることに決めました。1917年、教育学者ヨハン・フリードリヒ・ヘルバルトの5段階教授法をもとに、4段階職業指導法(やってみせる⇒説明する⇒やらせてみる⇒補修指導する)を行いました。
これは中世から続いていた徒弟制度ではない、職場指導、OJTの始まりとされています。
これが契機で米国中に体系的なOJTの方法が伝わりました。
時に山本五十六氏は1919年から2年間、米国ハーバード大学に留学しています。その間、米国で油田や自動車・航空機工場などを見て回ったと言われています。直接どこの工場で見聞したかは定かではありませんが、OJTの基本が喧伝されるようになった米国で実際にOJTの実例を見聞きし、その体験を基に例の短歌を作られたのだろうと容易に想像できますね。

基本中の基本 OJTのやり方

ステップで教える

そもそもよく言われるOJTとは何でしょうか。よく企業の管理職の研修をしていて、「部下をどう育てていますか」と尋ねると「とにかく仕事をやらせる」とおっしゃる方がいます。「では具体的にどういう手順ですか」と尋ねると「見て覚えるでしょう。説明している時間はないよ、自分も忙しいから」と言われます。「俺(O)の邪魔(J)をするな、手前(T)で勝手に覚えて」のOJTでは困るわけです。
話しを戻すと、OJTとはOn the Job Traning の略です。定義は、「職場の上司や先輩が、具体的な仕事を与えて、その仕事を通して、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって 全体的な業務処理能力や力量を育成する活動」です。
特に知識のない部下に新しいことを身に着けさせるその基本ステップは下記の通りです。

1.配置する
(1)安心の場を確保する
(2)事前に何を知っているかを調べる
(3)学習に対する興味を持たせる
(4)適切な持ち場を与える

2.作業をして見せる
(1)注意深く、根気よく説明し、見せ図示し、そして質問する
(2)キーポイントを強調する
(3)一度に一点ずつはっきりと完全に教える(ただし彼らがマスターできる限度を超えてはいけない)

3.効果を確認する
(1)彼らに仕事をやらせてみる
(2)説明させながらやらせる
(3)質問し正解を尋ねる
(4)彼らが理解したと判断するまで続ける

4.フォローする
(1)必要な時に誰に質問したらよいかの相手を判断させる
(2)頻繁にチェックする、積極的に質問させる
(3)進歩に応じたキーポイントを見つけさせる
(4)特別指導や直接のフォローアップを徐々に減らしていく

まとめ

共通の目標を掲げる部下たち
部下に仕事を任せるために、仕事について丁寧に説明することは成功するかどうかを決める重要なことです。そのために
1.任せる仕事のゴール(目標、期待成果)、リソース(予算、時間)を具体的に伝える。
2.仕事の目的や背景を伝えることで部下は主体的に行動するようになる。
3.説明する時は部下目線で。知識量、理解力、関心に合わせて説明方法を変える。
4.部下に初めて仕事を任せる時は、やってみせる⇒説明する⇒やらせてみる⇒補修指導する。

これらを管理職が粘り強く行うことで部下が任される仕事を理解し自分のものとして主体的に行動するようになります。

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
現場に入り問題解決し、お客様から「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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