部下に敬語は必要か?いいチームは遠慮が少ないんです!

20代の若い部下を待つマネージャーは部下に敬語を使うべきかどうか悩みますよね。今までのブログでは部下が年上なら「必ず使ってください」とお願いして来ました。では年下の若い部下にどうしますか。上下関係に慣れていないナイーブな若い部下を持ったら悩みますよね。今回はその悩みにズバリお答えします。
ポイントは上司部下の関係にどれだけ信頼感・安心感があるかです。つまり職場(チーム)の人間関係の成熟度によるんです。これがわかれば明日からあなたは言葉使いに悩まずに高い生産生の職場づくりが出来ますよ。

部下に敬語を使いますか?

まずは学校を卒業したばかりの新人が職場に入って来たとしましょう。新人の一番の心配事は自分がこの職場になじむかどうかということです。
この場合、上司や先輩は言葉遣いに配慮が必要です。職場や仕事の説明などは丁寧に例を挙げて教えてあげた方がいいでしょう。なるべく笑顔で接しましょう。新人が安心して質問したり、感想を言えるような雰囲気が大切です。基本は最後まで相手の話を聞く、うなづく、相手の顔を見る、リピートする、共感するなどの傾聴のスキルを使いましょう。
仕事の説明は敬語もしくは丁寧な言葉がいいですね。そして今どんな気持ちでいるか、不明な点はないかを聞いてあげて回答すると言う配慮があるといいです。

職場の人間関係の成熟度が言葉使いに影響します

ちなみに職場の人間関係の成熟度もお互いの言葉使いに大いに影響して来ます。
以下は米国クリーブランドゲシュタルト組織開発研究所のジョンカーター博士が提唱している組織の発達のプロセスです。組織の発達にはフェーズⅠからフェーズⅢまで3つのプロセスを経ていくとされています。

チームが成熟していない場合(フェーズⅠ)

まだチームが出来たばかりの初期の状態です。チームメンバーの関心事は下記の通りです。この状態ではメンバーは他のメンバーに合わそうとします(同化行動)。

・ここで私は誰を知っているのか?
・誰が私を知っているのか?
・どんな主張が許され、許されないのか?
・私は受け入れられるだろうか?
・どの程度、このグループに関与すればいいのか?
・公式・非公式のリーダーは誰か?
・自分は何故このグル-プにいるのか?
・グループの目標・目的は何か?
・その目標を達成するためにグループは何を達成すべきか?

ギクシャクした人間関係

こういう場合は職場のリーダーはお互いが知り合うように心がけます。職場のミーティングを開いて職場の目標や問題点、進捗状況などについて情報を伝えます。実績を上げたメンバーの事例を紹介するのもいいでしょう。個別面談を開いて要望を伝えたり、困っていることを聴きます。また懇親会を開いて、自分の趣味の自己紹介や仕事以外の雑談でお互いを知りあう事も有効でしょう。「今の気持ち」を1分程度で率直に伝えるチェックインの実施も効果的です。
特に新人には毎日声をかけ気になることや心配事を上司・先輩は聞いてあげることが必要です。

お互いの気心が知れて葛藤が始まる(フェーズⅡ)

フェーズⅡ~葛藤期~
お互いの気心が知れて、協力関係も出来て来た時に次の段階に移ります。若い部下も仕事に慣れて来ますが、不足点に上司や先輩が気づいて注意する必要性が出て来ます。こういう場合、上司としてよい点も見つめてフィードバックしつつ改善点も伝えます。また若い部下から職場や仕事の不満、上司・先輩への不満・反発も出て来ます
この期のチームメンバーの特徴は
・自己開示が進む。
・自己内及びメンバー間の葛藤(この仕事は嫌だ、あのメンバーが気に食わない、このチームは嫌だなど)が始まる。
・リーダーに対しての反発・不信・不満が出て来る。
・葛藤を無視したり、否認したりする。
・葛藤を認識し語り合う。
・葛藤を受容し対処する。
・葛藤の状況・背景の感情を明確にする。

怒り

このフェーズでのリーダーの役割は、メンバーの葛藤の内容、感情、その背景にある気持ちを明確にします。時にはリーダーの方針や決断、行動までもメンバーから批判され、きつい状況になりますが、チームの成長の一側面だと肯定的にとらえましょう。リーダーが自分の人間の器を大きくする修行の機会と思うと良いかもしれません。
そして問題解決するように話し合いますが、問題解決の前に双方の気持ちを話し合い、受け入れ合うだけで落ち着くことがあります。
その際、
・葛藤が起きた時点の肯定的意味を承認する(葛藤している者同士の)。
・他メンバーの悪感情を聞いた人の気持ちを明確化する。傷つく場合があるので優しく受容する。

若い部下の場合は仕事に慣れて来ると職場の重要ルールを犯す場合があり、こういう時は部下を叱る必要があります。時には厳しく伝える必要があるので、敬語を使わないこともあります。次は某メーカーの営業マン山田君に課長がが話している場面です
事例1
課長「山田君、A社さんへの見積もり提出の際、社内の了承を得ていないじゃないか。社印も押していないし。あの見積書は当社として正式のものかとA社さんから問い合わせがあったぞ。どうなっているんだ?」
山田「すみません、社内で承認してもらっている時間がなかったので、つい出してしまいました」
課長「ルール違反だとはわかっているんだな。今後どうするか反省文を書きなさい」

また部下が嫌がる仕事も背景を伝え説得する必要があります。
事例2
課長「山田君、急で悪いが、今月末の週、販売店B社さんの展示会の応援に行ってくれるか。X製品の技術説明をして欲しいんだ」
山田「そうなんですか。B社さんですか・・・」
課長「そう、大手のB社さんだ。何だ浮かない顔だね。何か都合が悪いのか」
山田「実は苦手なんです。結構、要求が厳しいし、雑談しても乗ってくれないし・・・。それにX製品はあまりよくわかっていないいんです」
課長「両方苦手なんだな。いい機会じゃないか。苦手から得意に変えるチャンスだよ。まだ時間があるからまずは製品Xの商品勉強をするように。先輩のD君に言っておくから彼から説明のコツを聞いておくように」
山田「はい、やってみます」
課長「B社さんは厳しい要望はおっしゃるが、業界では伸びている有力な販売店さんだ。ここで信用を得ると営業マンとして自身が着くぞ。応援に行く一週間前にご挨拶の模擬練習をやろう。それと初日は私も同行するよ」
山田「それなら安心です。よろしくお願いいたします」

遠慮がなく気づいたことを指摘しあい自発的に協力しあう(フェーズⅢ)

「フェーズⅢ~凝集~
葛藤期を乗り越えると次の段階に進みます。遠慮がなく、職場の課題に向けて気が付いたことを気軽に指摘しあったり、他メンバーに必要な仕事を協力するようになります。メンバーの特徴は

・緊張がなく心地よい、非難がない。
・お互いに好意を持ち、相手を気にかける。
・「私がしたいことはこれで理由はこうです」と言える。
・素直に感情が出せ、葛藤がある場合は話し合いで適切な妥協点を見つける。
・建設的に葛藤・不一致・逸脱が対処される。
・他者に対して少ない観察時間で意図していることがわかり、瞬時に協力しあう。
・それぞれの専門性が認められ、リーダーが誰かという争点にはならない。

協力

若手の部下に対して遠慮がなくなり敬語を使わなくなります。
事例
課長「山田君、A社さんの専務との面会アポ、頼む」
課長「山田君、展示会のパンフレット、今日発注うしないと間に合わないぞ!」
課長「山田、遅いぞ、早くいかないと展示会準備に間に合わないぞ!」
山田「(笑顔で)ハイ、すぐやります」

まとめ

1.年上の部下には敬語を使うのは基本。
2.ナイーブな若い部下には上司は慣れるまで最初は敬語を交えて丁寧に話す。
3.日常、会話を良くして来たらある程度人間関係・信頼関係が出来て来てくる。その場合は敬語は使わない。改善必要点があればその行為を叱ること。

スポーツでも職場でもチームワークが良く、生産性が高い、メンバーが活き活き仕事をしているのはフェーズⅢです。この職場を目指したいですね。

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。国内外1500人のリーダー元気に課題遂行や部下マネジメント強化の研修を行ってきた。
日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
お客様の現場に入り問題解決し、「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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