具体的な指示の仕方を学び、上司は部下に確実に動いてもらおう!!

某中堅企業の管理職研修の前に部下の方々からアンケートを取りました。「上司に対しての不満は何ですか」と言う質問でした。
事前の予想は「もっと引っ張って欲しい」「話を聴いて欲しい」かと思いましたが、じっさいにふたを開けると・・・

部下の不満の一位は「上司の指示が曖昧で困る」

アンケートの4割近くの方がなんと「上司の指示が曖昧で困る」という回答でした。
ネットで検索してみると部下側の意見で「上司の指示が曖昧、わからない」「上司の指示が悪くて、無駄な仕事をさせられた」「指示が悪いくせに上司に質問すると怒る」など部下の不満はかなり大きいようです。
上司の皆さん、知らず知らずの内に部下の不満がたまっていますよ。かなり不信感も持たれていますね。

今回のブログは部下の心理を紹介しながら、曖昧でない指示の仕方を考えたいと思います。
人づきあいが苦手で、部下とどう接して良いか悩みのあるマネージャーにはお勧めです。

困った事例

管理職Aさんの部下Bさんは新人ですが、真面目で実直な仕事ぶりです。指示されたことはきちんとやります。ただ、大人しくて上司の指示に対して質問をしません。ある日、上司Aさんは「これやっといて(商品の見積もり)」と指示しました。先週も同じく見積書を書いてもらったので出来ると思ったので大まかな指示でした。Bさんは何も言わずにうつむいていました。何も質問がないので理解したと思いAさんは会議室に行きました。
翌日、部下Bさんは書類を提出してきました。上司Aさんはしばらくしてぽつりと「うーん、なんか違うんだね」と言います。Bさんが「どのへんでしょうか」と尋ねると「それは自分で考えろ」と不機嫌に答えます。あと5分後に会議に出ないといけないので時間がありません。理由や修正ポイントを説明する時間がありませんでした。
Bさんは多分こうだと思った点を修正して提出しました。その時はAさんは午後に会議の資料作成に集中していたので十分見ていません。何も言いませんでした。

3日後、Aさんは部下Bさんに怒っています。「お客様は今まで以上の値引きを求めているのに君の見積もりはそこまでやっていないじゃないか」とすごい剣幕です。前日に、部下Bさんに作成してもらった書類をお客様に提出したところ、「そうじゃない」とお客様から否定されたのです。
部下Bさんが提出した資料はお客様の要望を満たしていなかったようです。
怒る嫌な上司

昼休み、Aさんは同僚のCさんに愚痴をこぼしています。
「最近の部下が使えないね。”この商品の見積もり、ちゃんとやっといて”って言ってもやらないんだからね。おかげでお客様に怒られたよ」
Cさん「確かに最近の若い者は感性が鈍いなあ。上司が何を考えているか考えていない。我々が若い頃は上司のスケジュールを見て何をやるべきかを考えたものだけどなあ」
Aさん「全くだよ」

部下にしてみたら、ひどい事例ですね。部下Bさんに同情したくなります。さて上司Aさんはどうすれば良かったのでしょうか?

上司の意識は「言わなくてもわかるだろう」

さて部下が上司の思いとは違う行動をしてしまう、上司の意識はどうでしょうか?
「1~10まで説明しなくてもそのくらいはわかるだろう。上司の普段の仕事ぶりを見ていたらどこまでやればいいかわかるだろう」
「細かく説明するのがめんどくさい。わからなければ聞いてくるだろう。自分は忙しいんだ」
「自分は忙しい、説明に時間が取れない。また質問に対しての回答で時間を取られたくない」
「自分は対人関係が苦手で部下と対面すると緊張する 早く離れたい」
「自分も顧客や上司から曖昧な指示で依頼されてきた。どのレベルまでやって良いかは結果を見て合わせていく」
「部下に指示した仕事は、実はどのくらい値引きしたらいいか自分でもよくわかっていない、部下もやっているうちにわかるだろうと思う」
「自分も仕事の指示の仕方は習ったことはない、自分のペースでやるしかない。部下は合わせて欲しい」

上司の状況もなるほどと思いますが、このままではまずいですね。

ほっておくと、部下が離れていく

ではこのままでは部下はどうなるでしょうか?
1.部下が今後も上司の意図と違う仕事をする。指示した上司としては意図した仕事の成果が手に入れられなくて困る。
2.何よりも部下たちのモチベーションが上がらない。生産性が低い職場になり、どよーんとした空気になる。部下が嫌がって他の職場に行きたがる、最悪は離職される。
3.自分の上司に報告される、自分の悪い評価につながる。
いずれにせよ、悲惨な結果になるでしょうね。

以下は部下Bさんが同僚Dさんと居酒屋で愚痴をこぼし合っている会話です。
Bさん「いやになるよ。うちの課長は。指示が曖昧でこちらは余計な仕事をさせられる。指示が悪いので
お客様に叱られるのを部下のせいにする」
Dさん「確かに課長は感覚的に仕事をしているよな」
Bさん「いつも顔がこわい、忙しそうで説明は早口、いつもイライラしている。指示が曖昧でも質問しづらい」と勢いに乗ってBさんも日ごろの憤懣を吐き出します。つづけて、気持ちはエスカレートします。
Bさん「それで意図と違うと怒る。こんなバカ上司、我慢するしかないと思って今までやってきたけど、もう無理。転職情報さがそう」
Dさん「その前に課長の上の部長に実態を話してみたら。A課長は管理職として問題あるって」
Bさん「・・・そうするか」

あらあら大切な社員が転職するか部長に問題を持ち込もうとしてしていますね。
そうならないように管理職はどういう部下に指示をするか次にご説明します。

上司として取り組みたい対応策

上司として仕事の指示は基本中の基本ですが、次のように行うのがおススメです。
1.指示をする前に何をやって欲しいかを整理し明確にする。

2.部下に指示するときは「何のために、何をいつまでにどの程度どうするか」を明確に。出来れば紙に書き、それを指示書として部下に渡すのが望ましい。
今回のケースでは下記を紙に書いて渡すといいですね。
(1)何のために:「○○商事さんから既存商品A以外に新たに商品Bの見積もり依頼があった」
(2)いつまで何を:「明日中に見積もり書を出して欲しい」
(3)どの程度 :「既存商品Aは従来の価格で、新規商品Bは定価の10%引きで出して欲しい」

部下への説明が苦手な管理職はこの3つの法則を知らない!

3.イメージが分かるようにビジュアルで説明する。
この場合、お客様に何を求められていて、いつ書類を提出する必要があるかかを明確に記述するのがいいですね。前に違う人が作成した見積書のサンプルがあればそれを見本として提示するのは役立つと思います。

4.「マニュアルに書いてあるだろう」だけではだめ
この仕事はどこを見ればよいか、具体的にはどうすればよいかを丁寧に教える。初めての作業をやってもらう時は 目的を話し、実際に示範して見せる。そして要点を伝える。

5.部下に復唱してもらう、実施する上で、不安はないか確認する。
特に真面目で無口な部下は、優しく「こんな不安はないか、大丈夫か」と少し疑問を引き出す質問がいいですね。上司は急かさずゆったりと聴く態度が必要です。

無口で引っ込み思案タイプの部下をいかす3つの方法

6.普段から会話を増やす、何でも話せるような関係を普段からしておく。好きな食べ物、趣味の話、ニュースなど何気ない雑談をするのもその関係づくりに役立ちます。
部下と話すときは「怖い」仏頂面ではなく適度に柔らかい表情を心掛けたいですね。

無口で相談しない部下を持ったら小まめな対話が大事!!

まとめ

指示が分かりにくいと部下に無駄な仕事をさせてしまいます。また部下にやってもらった仕事も期待したことではなく、お客様の信頼を失うことに繋がります。もちろん部下からの信頼も失いますよね。
そんな上司にならないために次のことを実践しましょう。

1.指示をする前に何をやって欲しいかを整理し明確にする。
2.「何のために、何をいつまでにどの程度どうするか」を明確に。紙に書きましょう。
3.イメージが分かるようにビジュアルで説明する
4 マニュアルがある場合はこの仕事はどこを見ればよいか、具体的にはどうすればよいかを丁寧に教える
5.部下に復唱してもらう、どうやるか、不安はないか確認する
6.普段から会話を増やす、何でも聞けるくれるような関係を普段からしておく

これらを上司のマネージャーが実践していると部下は上司の意図通りの仕事をしてくれるようになります。上司への信頼も上がりますよ。
上司としても部下の信頼を感じ意欲が上がりますよ。

良い関係づくり

無料 チェックシート プレゼント
【部下のやる気をなくす言葉と行動チェックシート】

落ち込む若手社員
幹部・管理職が何気なく言った言葉や知らずにとった態度が部下のやる気をそいでいませんか?
これが積み重なると部下の離職にもつながります。
本チェックシートは「上司が部下のやる気を上げる行動をしているかどうか」も確認できます。

・部下のやる気をなくす言葉と行動チェックシート
・この言動はなぜ部下のやる気をなくさせるかの解説シート
・部下のやる気スイッチをONにするチェックシート
・パワハラを恐れず叱るチェックシート
・これはアウト!「パワハラになります」チェックシート
・これは難しいパワハラグレーゾーン解説シート

 

部下を持つ管理職には必ず参考になる内容です。ぜひ、無料でダウンロードして、日常のコミュニケーションにお役立ててください。

無料チェックシートダウンロード→

 

 

藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。国内外1500人のリーダー元気に課題遂行や部下マネジメント強化の研修を行ってきた。
日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
お客様の現場に入り問題解決し、「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問合せ・FAQ

TEL:080-6602-3193