無口で相談しない部下を持ったら小まめな対話が大事!!

あなたの部下は仕事で困ったことや、わからないことを上司であるあなたに気軽に質問をしますか?

某中堅企業の管理職研修のことです。部下との接し方に困っている事の上位に、「部下が報告連絡相談してくれない。質問してくれない」と言う声が多く上がりました。特に20歳代の若い部下に多い特徴だそうです。上司として仕事の指示をして質問がないのでわかっているものと思い、そのまま進めてもらっていたのですが、何日かしてどうなったのかと蓋を開けてみたら全然違うことをやっていて驚いたと言う事があります。

どうしてこういうことになるのでしょうか?今回のブログは若者たちの心理を紹介しながら、接し方を考えたいと思います。人づきあいが苦手で、部下とどう接して良いか悩みのあるマネージャーにはお勧めです。

困った事例

新人の内木良夫さんは真面目で実直な仕事ぶりです。仕事で指示されたことはきちんとやります。新しいスキルの習得もこつこつやります。ただ、あまり発言をしません。会議でも黙っているし、お客様への同行で色々仕事を教えても反応が鈍い。わかったのかわからないのかがもう一つわからないのです。
仕事の指示をして時々うなづいているのでわかったのかなと思うと、時々見当はずれのとんでもない結果を出すことがありました。

職場の先輩の田中君に内木君の様子を聞くとやはり困っているそうです。
日常会話をしようと思っても反応がなく、黙っていることが多い。田中君もあまり社交的な方でもないのでどう接したら良いのかわからない。結局二人とも黙っているそうです。
空気が重そうですね。

皆さんはこういう場合どうしますか?
ちなみに育成面談というのを3か月に一度、管理職と内木君でやるそうですが、余り会話は弾まないようです。
なんてこった

なぜ質問や相談をしないのか

若い人で内木君のようなタイプの人の心理から言うと、次のような理由があります。
1.どこがわからないかを質問するほど頭の中が十分整理できていない。
内木君にしたら何を聞いていいのかわからない。何が分からないのかまだ明確になっていない状態です。もしかしたら上司が内木君の理解度を確認せずに一方的に説明してしまい、ついていけなかったのかもしれないですね。ストップをかけて確認するには質問慣れしていなくて躊躇するものがあるようです。

2.自分のために質問をして上司・先輩の時間を取るのが悪い。
普段からあまり会話をしない内木君にとって質問するというのは特別な事なんです。性格的に控えめで自分の気持ちより他者尊重の気持ちが強いと「自分の為に時間を取らせては申し訳ないから」と言って質問したいことをしません。

3.「そんな簡単なこともわからないのか」と言って馬鹿にされるのが嫌。
質問するのはすごいエネルギーがいるんです。ましてや知らないことを伝えて馬鹿だと思われるのが嫌なんですね。傷つくんです。ちなみに若い人の特徴としては、友達にさえも悩みを相談することは少ないそうで
す。悩みを友達に考えてもらうのは負担になるだろうから遠慮するし、もし打ち明けて友達が親身に扱ってくれないと傷つくからだそうです。

4.困ったことがあっても自分で解決すべきと思っている。
幼少時に親やおじいさん・おばあさん、兄弟から「自分のことは自分でやれ」とそういう教育を受けた場合はは人に助けを申し出るのはすごい抵抗があるのです。前の職場でも職人気質が強い職場では「質問する前に自分で考えろ」そういう指導を受けたということがあります。

箱の中に頭

対応策

内木さんはTA(交流分析)と言うわかりやすい心理学で言うとAC(Adoptd Child、従順な子供)が強いタイプです。素直で我慢強く周りには合わせますが、失敗することを恐れ自分から発言したり行動することは少ないのです。他者の顔色を見て行動することも要見られる特徴です。こういうタイプにはその奥ゆかしい気持ちに合わせながら考えを引き出すアプローチをしていく必要があります。詳細は次のブログをご参照願います。
初めて部下を持ったらTAを学ぼう

またこのタイプは人の行動・心理を6つに分けた人格適応論で言うと引きこもりタイプです。言われたことはきっちりやるし協調性はあります。ただ自分からは意見を言わないし、疑問があっても質問をなかなかしません。こういうタイプに上司は養育的な気持ちで接し、「カラからでておいで。お話ししましょう」という関わりが効果的だと言われます。

上司や先輩がこういうタイプの人と接するには次のように行うのがおススメです。
1.会話を増やす
2.部下に教える時は細かい仕事のフローを作る
3.部下に細かくフローを作ってもらう。

一つずつ順番に説明していきますね。

1.会話を増やす。

いきなり「困ったことはない?」と言っても若い部下は話してくれません。普段から仕事以外のことで色々な話題で会話をして言葉と気持ちのキャッチボールをすることに慣れることが土壌づくりにつながります。
(1)相手が答えやすい話題を振りましょう。
例えば、今の時期だと地域によっては雪が降りますね。それを話題にします。
「今日は寒いね?」
「通勤の時、そちらの道はどうだった?雪は積もっていた?」
「今日の通勤電車混んでいたでしょう」

「君の担当のエリアに美味しいラーメン屋があるよね」
「休みの日は何をしているの?」

(2)多分相手はこう考えているかなと先回りして質問して見る
例えば
「君が応援しているサッカーのチーム勝ったね?」
「出身地の地震大丈夫だった?」
「昨日風邪気味と言っていたけど大丈夫?」
「○○の件で困っていたけど、あの後どうなったかな?」

(3)相手が会話に乗ってきたら、うなづいたり相槌を打ったりして相手が話しやすくします。
また話を聴いたら「そうなんだ」と関心をもって聞きましょう。少し驚きながら聞くことも大事です。無反応ではいけません。

2.部下に教える時は細かい仕事のフローを作る

(1)マニュアル世代には事細かに仕事のフローを伝える
今の若い世代はマニュアル世代と言われています。やって欲しいことをデモンストレーションして実際に見せてその後、事細かにフローを伝えないと身につけません。それ以前に指示する上司に内心抵抗感を感じついていきません。

数10年前の教え方にまずは体験させるということがありました。かなり乱暴な話ですが、泳ぎを教えるために池に連れて行って飛び込ませると言う方法があります。溺れそうになり必死で泳ごうとするので泳ぎを覚えるというのですが、心理的なトラウマになりかねない非常に危険なやり方です。

現代では人が泳げる原理を教え、訓練すれば誰でも泳げると言うことを教えて安心してもらいます。
次にプールに連れて行って、実際に先生が泳ぎの見本を見せた後は、顔を水につける、沈んでみるなどの水に慣れる体験をしてもらいます。その後、徐々に力を抜いて浮く練習、フロートを掴んでバタ足で進む練習など水に慣れさせる小さな作業をやっていきます。
このように小さい作業をフローにして教え体験させていくことが新しい仕事(技)を確実に身に着けていくことにつながります。

(2)細かく質問し考えさせる
新しいことを教える場合、細かくフローにして伝えるのですが、教える側は「ここはわかった?」「ここはどう?」と細かく質問し相手に考えて答えさせる対話が良いのです。
そのためには何を答えても安心と言う関係を作っておく必要がありますし、質問攻めにされると相手はプレッシャーを感じるので、質問した後は相手が考え味わう時間を取るようにしましょう。

(3)対話が大事
幼児で知能が高くなる条件に、親が絵本を読み聞かせると言うのがあります。それも単に読むだけでなく質問をして会話をすると良いと言われます。
「キリンさんの色は何色?」
「うさぎさんはこの後何をするかな?」と言う質問で幼児は考える力がついていきます。
親がこまめに声かけをして会話(対話)をして言うのが大事だと言うことですね。
素直に質問
これは幼児だけでなく大人になっても同様です。声をかけられる機会が多い人の方が意欲などモチベーションが高いというデータがあります。職場でも同僚や上司部下の会話が多いほど生産性が高いというデータがあります。対話が大事と言うことですね。
上司が仕事のフローを説明した後、自由に部下が質問をする関係になるといいですね。

3.部下に細かくフローを作ってもらう。

仕事について上司がフローを作り、部下に説明をするということを説明しました。それだけではなく、部下自身がその仕事をどう理解したかフローを細かく書いてもらうとより効果的です。フローを書いてみるとわかっていることと曖昧なことが明確になります。そのフローを元に自信がない、わからないことを質問してもらいます。すると具体的な仕事の内容で会話ができます。

まとめ

無口で仕事に対して質問や相談をしない部下に対して、上司はどう接して良いか困りますね。そこでこういうタイプの部下には次のようにアプローチします。
1.仕事以前に何気ない会話を増やす、無口な部下が安心安全に先輩上司と会話できるような素地を作る。
(1)相手が答えやすい質問をする
(2)多分相手はこう考えているかなと先回りして質問して見る
(3)相手が会話に乗ってきたら、うなづいたり相槌を打ちます。
2.部下に教える時は細かい仕事のフローを作る。
(1)マニュアル世代には事細かに仕事のフローを伝える
(2)細かく質問し考えさせる
(3)対話が大事
3.部下に仕事のフローを書いてもらいます。どの程度理解しているかの確認になりますし、会話が弾みます。

これらをマネジャーが気づき、実践していると部下は自発的になります。マネジャ―自身も心身とも健康で前向きに楽しく毎日を過ごすことができます。

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。国内外1500人のリーダー元気に課題遂行や部下マネジメント強化の研修を行ってきた。
日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
お客様の現場に入り問題解決し、「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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