部下が会社をやめたくなる3つの条件!

企業にとって採用したばかりの社員が辞めるのは大きな損失です。近年、大学卒の新人の3割が3年以内に退職すると言います。企業にとってはせっかく採用試験、新人教育、社会保険料などに多くのコストや労力(数百万円のコスト)をかけても無駄になります。人員減につながり先輩社員に心身ともに大きなダメージが与えられます。
筆者の経験では3つの条件がそろうと確実に離職します。これはリクナビなども同じ事が言われています。
今回はその3つの条件とその理由及びその対策を考えていきましょう。その逆の事を実践すれば辞めないということですね。
経営者、管理職の皆さんはこういう言葉や行動、知らず知らずにやっていませんか?

社員が辞める3つの条件

社員が会社を辞めたくなるのは、ズバリ、次の3つの条件です。

1.労働条件が悪い(労働時間や給与が良くない)

新人にとってみれば、採用面談では聞いていたが、これほど労働条件が悪いとは思わなかった。
仕事はきつい、面白くない、給料は安い、長時間労働で残業が多い、休日出勤が多い、休みが取れない。友人や家族と予定をしていても仕事が入ってきてしまう。定時後にやりたいことができない。

2.会社の将来について希望が持てない

将来性はあると思ったのに実際に入ってみると「会社の売上が落ちてきた、商品が陳腐化してきた、強力な競合がある、今後労働条件が悪くなるだろう」と暗い話をされる。
先輩がハツラツしていないのがわかった。数年先にはああいう先輩になりたいとは思わない。

3.人間関係が良くない

新人が上司や先輩に人として大事にされていない、軽く見られている、無視される。学生時代とのあまりのギャップの大きさに耐えられなくなる。

この3つの中で特に最後の人間関係は大事です。いくら労働条件が悪くてもその不満を率直に伝えられ親身に聴いてくれる先輩・上司がいると思いとどまり辞めないと言うことがあるからです。
人間関係が良くないのが社員が辞める最大の要因と言っていいでしょう。

人間関係が良くない

入社したばかりの若い社員にとって最初の上司・先輩との人間関係が悪いと会社全体の印象が悪くなります。特に社会経験が少ない20代の人ならその上司との関係が全てであり、会社の将来に悲観をしてしまいます。
例えばこんな声を聴きます。

1.仕事についてあまり教えてくれない

一度は教えてくれるけど、わからなくなってもう一度聞きたいけど忙しそうで、「仕事の邪魔をするのが悪い」と思って聞けない。一人で復習しようと思っても職場に初心者用の仕事の基本的なマニュアルがない。一人悶々と悩んでしまう。

2.反対に上司が教育熱心なあまり口うるさい

上司・先輩が生真面目な人で、一杯注意されてやる気が無くなる。自分はダメだと思い萎縮する。上司は何とか育てたいと思って情熱持って教えたり指導したりしてくれるのですが、いっぺんに多くのことを教えられると部下にとっては消化不良を起こします。

3.上司・先輩が冷たい。気軽に愚痴・不満を言えない

社会経験が少ない若い人は失敗するのは当たり前ですが、「失敗した」「うまく覚えられない」などそういう簡単な愚痴や不満を周囲に言えないとつらくなります。不満を聞いてくれる身近な先輩がいないとストレスが溜まりますね。先輩はスムーズに仕事を進めているのにモタモタしている自分と比べて嫌になります。

なぜ人間関係が悪いと辞めたくなるのか

人は無視されたり軽視されたりとやる気が無くなると言う基本的な性格があります。私たち人間は生まれてから他者からの働きかけがないと生きていけないのです。
わかりやすい心理学のTA(交流分析)では無視される、軽く扱われると言うことはディスカウントと言います。植物が育つには水や光が必要ですが、私たち人間も水・食べ物以外に他者からの関わりが必要です。この関わりが少ない状態がディスカウントと言っています。ディスカウントがあると、我々の成長や心身の健康に大きなダメージを与えられます。

TA(交流分析)については下記をご参照願います。
交流分析で自他を育てる

人から元気をなくすディスカウント

先ほども説明した通り、ディスカウントとは人間としての存在=価値を値引きすると言うことです。人として大事にされないと言うことですね。私たち人間は生まれてから親や親代わりの人を通じて成長します。乳児から幼児になっても他者からの働き掛けがないと生きていけないのです。
これは多くの調査報告があります。有名なのはルネ・スピッツ博士の調査研究です。

第2次大戦中に親を亡くした多くの乳児が誕生しましたが、乳児院で養育されました。その乳児の多くが死亡し社会問題になりました。多くの調査団が原因を調査しましたが、わかりませんでした。スピッツ博士もその一員でした。
施設が貧しいのが原因かと仮説を立てましたが、そうではありませんでした。ベッドが広くて立派な設備でも死亡する乳児はいました。反対にベッドが狭くて汚い設備でも死亡率が低い施設がありました。
ある日スピッツがベッドが狭くて劣悪な環境の施設で乳児同士が触れ合ったり、足や手をばたばたたたき合うということを発見しました。反対に広いベッドに寝かされた乳児たちは刺激がないということに気づいたのです。
生きるために必要な刺激がない=ディスカウントの状態だと乳児の生存に大きな影響があることに気づいたんですね。

そんなディスカウントも、ダメーシが少ない軽いディスカウントと重いダメージにつながるディスカウントがあります。

軽いディスカウント

・上司が仕事の指示をするときに顔を見ない、名前を呼ばない(上司はパソコンを見て他の仕事をしている)
・しかめっ面をする、馬鹿にした顔をする
・普段会話しない、声がけしない

・会議や雑談で先輩同士が会話をしていて、新人が入れなくても気にせずそのままにしている
・「そんなことわからないのか、常識だろ」「この前、教えただろう」と否定される

・新しいことを教えるスピードが速い。「わかったか?」「質問はないか」など若手の理解・消化具合に関心がない
・部下(後輩)が質問や相談をしてきてもぞんざいに扱い、丁寧に答えない(上司・先輩も忙しいので)

・部下が「なぜこの仕事をやる必要がありますか」と質問しても「文句を言わずに、いいからやれ」と言う。その結果、社員が意味のない仕事をやらされていると感じる。

・余り任せない。失敗されると困るのでチェックを何回も厳しくやる。やり直しもある
・必要な情報を与えない。(仕事の背景、仕事の結果、会社や職場の状況など)

・仕事を遂行しても部下のレベルが上がっても褒めない、仕事をやるのは当たり前と思っている
・面談では上司や先輩がいっぱいしゃべる。部下が話す時間がない

・部下が困っている様子をしても気にしない。そもそも部下の表情、姿勢・態度に上司は関心がない
・部下にとって仕事で身の丈にあった目標があったり、チャレンジしたりする機会がない

これらのことを経営者、上司・先輩h知らず知らずにやっていませんか?
これはこのブログの最後にあるチェックシートをやってみて自分の言動を確認してみてください。

重いディスカウント

・怒鳴る(「何やってんだ!」「あほか!」と大きな声で言う)
・暴言を吐く(「無能」、「使えない」、「覚えが悪い」、「それでも学校出たのか」)
・任した仕事を取り上げる(「お前には無理だ、期待外れ」と言う)
・無視される(不満を言っても聴かない、自分だけミーティングに呼ばれない)

近年パワハラについて各社教育はしていると思いますが、これを上司が言ったりやったりすると即アウトです。
パワハラにならない叱り方その5 これはアウト、即退場

1990年代は日本多くの企業は組織をリストラしなけれなればなりませんでした。筆者の知り合いの何人かは会社で上司から退職促進の話をされたり、管理職の方は部下に退職を勧めざるをえませんでした。
その時のリストラ専門の外部コンサルタントが教えたことは「もうあなたの仕事ははないと伝えてください。相手の顔(目)を見ない、質問にも答えないでください」と言うことでした。
ひどい話ですよね。せっかく会社と社員が築いて信頼関係の絆を切る行為です。まさしくディスカウントです。

社員が辞めないためには

ディスカウントとは言い換えると「人が生きていくのに必要な刺激」のない状態です。職場では安心・安全と感じる環境と適度な刺激を与える必要があります。

1.良い人間関係を作る

そのためには次の3つをやりましょう。
(1)日常、挨拶や声がけがされている気軽に会話できる、オープンな雰囲気。
若い人からは不安なこと、不満なこと心配なことは言いだしにくいので先輩や上司が様子を見て「どうだ調子は」と声がけする事が必要ですね。

(2)困った時に困ったと言える。同僚や上司が助けてくれる。
これは先輩どうしが助け合っている姿を見ることは勇気づけになります。一緒に一つの仕事をやっていると協力の大事さがわかるようになります。

(3)仕事の希望・不満を聴いてくれる
同僚・上司から存在を認められていて「ここにいて良い=居場所」を感じられる。

2.チャレンジ目標を作る

人間とは不思議なもので良い人間関係の下で安心安全な環境のもとだと物足りなくなります。他人からの声がけや褒めてもることは「他者承認」と言います。「他者承認」が出来る環境の下では次に「自己承認」が欲しくなります。自分で目標を決めて進めることです。

(1)上司と部下で「数年先どうなりたいか、どういうキャリアを積みたいか」について面談がしましょう。上司は何のためにそうんりたいのかと「志」を聞きまししょう。その実現に会社がサポートしてくれるのが重要です。

(2)営業なら訪問件数や提案数を掲げそれを毎日更新する。
人から言われるのではなく社員が自分でチャレンジ、成長目標を具体的に掲げ周囲に宣言し努力していきます

(3)確実に仕事を覚えスキルが上がっていく実感を持ってもらうように上司がタイムリーに「力がついてきている」とフィードバックする。提案改善ができるのも重要です。
コツコツ

3.会社や仕事に関する情報があり、自分の能力を伸ばすことができる

人って自分の周りのことを知りたい、自分の能力を伸ばしたい、成長したいという要望があります。
そのためには次の3つをやりましょう。

(1)職場で起きていること、会社の状態について情報が伝える

(2)上司は「こんな職場にしよう「こんなスキルを身に着けよう」と前向きな方針を語っている

(3)他の社員のすぐれた仕事やスキルについて知る機会がある。社内ネットや研究発表や実践事例発表会で新しい情報を入手し刺激を得られる

次のブログもご参考にしてください。
社員の離職を防ぐたった3つのこと

部下がはつらつと動くようになるTAによる育成研修

まとめ

1.若い社員が会社をやめる理由は
(1)労働環境が悪い(残業、休出が多い、給料が少ない)
(2)会社の将来に希望が持てない
(3)人間関係が悪い

2.特に人間関係が悪いのは問題です。会社に入ったばかりの新人の直接の上司・先輩に問題があると会社全体に不満を持つことにんる。その不満は
(1)仕事についてあまり教えてくれない
(2)反対に上司が教育熱心なあまり口うるさい
(3)上司先輩が冷たい。部下が気軽に愚痴・不満を言えない。

3.人間関係が悪いのはわかりやすい心理学TAではディスカウントと言い、相手の存在価値を値引きするものです。人はディスカウントされると元気がなくんりひどい場合は病気になります。

4 社員が辞めないためにはディスカウントをしないことです。
(1)人間関係を良くする
(2)チャレンジ目標をつくる
(3)会社の情報を伝える、部下が何をしたらよいか伝える

これらを経営者・管理職が意識して改善策を実践していると部下の意欲が上がり離職も減っていくでしょう。
良いチ一ム

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。国内外1500人のリーダー元気に課題遂行や部下マネジメント強化の研修を行ってきた。
日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
お客様の現場に入り問題解決し、「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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