こけたら終わり!リスク管理をしないのは大怪我のもと!

このブログは「部下に仕事を任せるのが苦手な経営者、管理職」の方対象に書いています。仕事を任せるためには次の5つのステップがあります。第1回はその第1ステップ「腹を決める」をご紹介しました。第2回は「見極める(部下の力量、仕事のレベル)」、第3回は「部下に説明する」、第4回は「進捗確認する」。そしていよいよ第5回、最終稿の今号は「リスク管理」についてご紹介します。
いくら大きな仕事を任せても、失敗されたら次から任せるのが上司も部下も怖くなります。リスク管理が出来るかどうかは仕事を任して成功するための大きなキーです。今号をお読みになると、あなたはリスク管理の名人になるでしょう。

リスク管理を必ず行う経営者・管理職

リスク対策をする

優秀な経営者や管理職は部下に大きな仕事を任せる時に必ずリスク管理をしています。
自分ほど優秀でない(経験の少ない)部下に任せた場合、仕事の失敗しそうなところはどこか、どうやったら失敗しないか、失敗した時はどうやってリカバリーするか、いつそれを判断すればよいかなどをよく考えておられます。
以上のようなリスク管理をやっているからこそ、優秀な経営者・管理職のもとで部下は任された仕事を遂行し自信を持ちます。力がつきさらに大きな仕事を任されるようになります。良いサイクルですね。
さらに望ましいのは経営者・管理職が自らリスク管理を行うだけでなく、部下にもそのリスク管理の方法を教え実行させます。この方がはるかに成功率が上がります。リスク管理のやり方まで任せるわけです。これから順を追ってお伝えしていきます。

リスク想定とリスク予防策を立てる

Y舞話にはご用心

どういうリスクがあるか考える

まずは仕事をする前にどういうリスクがあるか考えられる限りリストアップします。なるべくリアルに具体的に書きます。あわせて理由も書きます。
身近な例で言うと家が火事に合う場合を考えましょう。石油ストーブに石油を入れている時に引火する、電源コードが漏電する、てんぷらを揚げている時に油が燃え上がる、寝たばこをしていてそのまま寝てしまうなど。実は火事の統計では一番多いのは理由は放火だそうですが(平成28年のデータ)、これも防ぐ必要がありますね。

起きる可能性と起きた時の影響度を10点満点で評価する

次にその起きる可能性(probablity:略号P)と起きた時の影響度(Seriousness:略号S)を10点満点で評価します。心配症の人は全てがリスクとして対策を打ちたくなりますが、時間とエネルギーの効率化のため数値化して、本当に予防すべきことに集中するためです。実験装置の例でご紹介しましょう。

例 実験装置のリスク想定
想定されるリスク                P(可能性)  S(影響)
1.装置メーカーを1社しかあたらない         4      5
2.予算や必要スペックを満たさないメーカーを選ぶ   3      8
3.実験装置が当社製品の実験では精度が出ない     5      8
4.実験する人の使い勝手を聞かずに進めてしまう    6      7

リスクが起きないように対策を考える

次のステップではPとSが5以上だと問題が大きいのでそれらが起きないように対策を考えます。
実験装置の例で言うと3の「実験装置が当社製品の実験では精度が出ない」と4の「実験する人の使い勝手を聞かずに進めてしまう」が5以上なのでここのPを下げるために、トラブルの原因を考えそれらが起きないようにアイデアを出し合います。3の原因は当社製品の素材の基本データの把握不足が原因と考えられます。月に一度の進捗会議で、「当社の従来の素材の基本データは確認したか」と質問すれば良いかと思われます。4の「実験する人の使い勝手を聞かずに進めてしまう」も同様です。「実験する人の使い勝手など要望は聞いたか」と質問すれば良いでしょう。

ちなみに「家が火事になる」のケースではPが1ですが、Sが10になります。自宅の大きな損失に加えて、近隣にも多大のご迷惑をかけるので慎重に火事になりうる要因をつぶしていく事が必要です。具体的には石油ストーブの給油は必ず火を止めて行うとか、電源コードが漏電しやくなっていないか点検をする、台所の壁を防火壁にする、寝たばこをしないなどがあげられます。一番大きい放火に対する予防は、古くからある「火の用心」の夜回り、新しいところでは、不審者が近づくと明かりがつく防犯灯や防犯カメラがあたるでしょう。
職場においては、上記のようなリスク管理シートを作って部下に書いてもらい、あとで上司として見させてもらうと良いでしょう。部下のリスク想定の力量が分かります。上司として抜けていると思う点があればそっと伝えることによって、部下のリスク想定力が上がって行きます。

リスク発生時対策を考える

不幸にしてリスクが発生した場合、被害が最小限になるよう対策を事前に考えておきます。
家の火事の場合で言うと、
・燃えだしたら消火器で消す。そのために定期的に消火器の使い方を練習しておく。
・119番に電話してすぐ住所、道順が言えるようにしておく。
・さらには燃えさかって来ても、逃げられるように避難経路を確認しておく。
・最悪燃え尽きても保険金がおりるよう火災保険に入っておくなど。
実験装置の例で言うと、当社製品の実験で精度が出ない場合、違うメーカーに依頼する。そのために予備のメーカーを当たっておくなどがあげられます。

支える

トリガー情報

いつリスク対策を実施するかのタイミングを明確にしておきます。トリガーとは拳銃の引き金の事です。物騒な言葉ですが、いつ運命の引き金を引くかタイミングをハッキリしておくことが重要です。これが明確でなかったり時期が来ても引き金を引かないとじりじり大きな損失につなげることになります。
実験装置の場合、中間進度報告会であるメーカーの装置では精度が出ないことがわかり挽回の可能性が見えない場合、責任者が違うメーカーを調べることを決定することがこれに当たります。場合によっては任せた部下のサポート役を新たに付けたり、最悪の場合は担当替えもありえます。
他に当初の予算を何割かオーバーする場合も同様です。何%オーバーしたら次の手を打つか、誰が決めるかをあらかじめ考えておくことが望ましいと思われます。

リスク管理をするときの心構え

心配症

あれこれ細かく注意を与えすぎない

上司として部下に仕事を任せたら上手くいくかどうか心配になる気持ちは自然なことです。ただ良くないのはリスク(失敗)を恐れる余り、部下が実施する前に我慢できずにあれこれ細かく注意を与えすぎることです。部下の性格にもよりますが、あまり細かいことを上司が言うと部下が委縮すします。挑戦的なことに取り組む意欲もなくなります。これではいけません。
部下は上手くいかない体験をしてこそ学ぶことも多いのではないでしょうか。上司は「仕事とは上手くいかないこともあるもんだ」とどーんと構える、見守ることが重要です。

リスクが起きても冷静に状況を聴く

そして想定したリスクが起きても冷静に状況を聴きます。そして「今後どうしたいのか」を尋ねます。部下も責任を感じているから必死で考えます。そこをどうするかを考えてもらうのが次につながります。いわば成長のタネになる訳ですね。安易に教えてはいけません。考えてもらいましょう。
こうしてみると我が子の成長を見守る親のようでもありますね。

まとめ

部下に仕事を任せるために、リスク管理することで成功率を圧倒的に高めます。
上司が自ら考えるだけでなく部下にもリスク管理の方法を教え、部下が自ら考え行動するように成長させるのが望ましいことです。
基本ステップは
1.リスク想定とリスク予防策を立てる。予防対策を重点化するために発生の可能性をP、発生した時の影響度Sとして10点満点で評価する。点数がそれぞれ5点以上に絞って予防対策を打つ。影響度Sが9とか10のように大きい場合も予防対策を考える。
2.不幸にしてリスクが発生した時の対策を考えておく
3.上司の心構えは ゆったりと冷静に

これで部下が育ってきます。任せた仕事の成功率も圧倒的に上がって来ます。

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。国内外1500人のリーダー元気に課題遂行や部下マネジメント強化の研修を行ってきた。
日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
お客様の現場に入り問題解決し、「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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