パワハラにならない叱り方その7  パワハラしやすいマネージャーの特徴

  • 前々号では「パワハラの事例」、前号では「パワハラのグレーゾーン」をご紹介しました。
    さて、パワハラはいけないと頭ではわかるけれど気がつけばつい感情的になって部下にきつい言動をしてしまう、場合によっては頭を軽くたたいてしまうというマネージャーはいませんか。今回はパワハラしやすいマネージャーの特徴及びどうやって自己コントロールするかをご紹介します。これを読めばあなたは「パワハラマネージャー」と言われなくてもすむでしょう。色々な企業のマネージャー研修で、「ついパワハラをしてしまう」マネージャーの声や実際に上司からパワハラ被害を浴びている方のお話を伺います。そのうちにあるパワハラを行いやすいマネ―ジャーにいくつかパターンがあることがわかってきました。これはセクハラやDV(Domestic Violence;家庭内暴力、特にパートナーへの暴力・暴言)をしやすい人の特徴に似ています。

    特徴1 感情が不安定

    いつもイライラ

    いつもイライラしている。在りたい姿と現状が違うので不満を持ち、怒りや他者攻撃の言動が出やすい。完璧症でありまた優秀でありたい、上位者から評価されたいと強く思う。自分の想い通りにしたいと言う想いと同時に実際は小心者なのに強く見せたい、良く見せたい、偉く見せたいという心理があります。また孤独で理解されたい、承認されたいのにされていないという不安な面もあります。
    いずれにせよあるがままの自分を認めていない、ストレス耐性が乏しく、感情コントロールが上手くない特徴があります。

    特徴2 自分は特別と言う認識と甘え

    自分はえらい

    自分はこれをやっても、言っても許されるだろうという甘えがある。その背景は、自分は特別、自分は優秀だから、周囲から認められているから、実績があるから、役職者だから。また自分はこれだけ努力しているんだから部下もわかるだろう、わかってくれるだろうと言う気持ちがある。

    実際は周囲はその考えを認めていることはなく、むしろ「困った人」と認識しているのですが、その現実を認めない。これは子供時から親が「あなたは特別よ」と言って甘やかして、現実の「特別でない」自分を認めてこなかった方が多いようです。ひどい場合は「自己愛型人格障害」という障害にもなります。

    特徴3 問題解決の手段は暴力、暴言

    駄々っ子
    自分の意に沿わないことがあると大きな声を出したり威圧的な態度をしたら周囲が言うことを聞いてくれる。幼少時から少年・青年期はそれで通してきた。一種の「駄々っ子」です。
    また親や教師、先輩、上司など悪いモデルがいた。自分が他者から同じような目にあってきて、上位者の意に沿わない事をするとそういう目に合う、そんなものだと思っている。親から殴られる、体育会系のしごきにあった、上司から暴言、説教を受けてきた等がこれに当たります。

    特徴4 無抵抗な人にカサに来て攻撃する

    いじめる
    無抵抗の人には特にからみたくなる。抵抗する人に遭遇するとメンツがつぶされるのでその後はあまり攻撃しなくなるのですが、抵抗の少ない人には安心してカサにきてパワハラを続ける。自分の優秀さを実感できるので小学生のいじめの心理と同じですね。心の中では「誰か止めてくれ」と言う想いもあります。

    特徴5 自分の経験や目標を押し付ける

    押し付ける
    職場で仕事熱心で部下育成も熱い気持ちも持っているのですが、一人よがりです。「高い目標に対して皆頑張って欲しい」「自分がやって来れたんだから、部下もみんなできるだろう」と思って強い指導をしてします。結果として部下は心身とも疲れてしまう。方向は間違っていないのですが、部下は違う経験、感情の持ち主と言うことが理解できていない。部下の目標感はそれぞれだし、努力の仕方もそれぞれだと言うことを理解する必要があります。

    対応方法

    1.パワハラの基本知識を得る

    まずはどういうことがパワハラになるのか基本知識を得る。ご自分の何気ない日常行動が該当するの驚かれると思います。「えー、自分が新人の時に上司にやられたこと、すべてがパワハラじゃないか」と思われるマネージャーが多いと思います。そうです。今は時代が変わったんです。パワハラと言われる日常行動の知識を知ったら、その上で、自分がそういう言動をしがちという性癖をもっていると意識すましょう。
    そしてパワハラをされた部下にとっては大変なストレスであり、会社を辞めたくなるくらいのつらい気持ちになる事を理解する必要があります。参考までに下記のリンクをご覧になってはいかがでしょうか?

    パワハラにならない叱り方その5 これはアウト!即退場!!

    パワハラにならない叱り方その6 これは難しい!パワハラのグレーソーン

    2.冷静になる。深呼吸、そして部下の話を傾聴する

    感情的になりやすいマネージャーの方は部下の行動に対して何かしたくなったら、冷静になりましょう。深呼吸して6秒待つ。これはアンガーマネジメント協会のお勧めです。怒りの感情は脳内にアドレナインが分泌されるそうですが、6秒ほど経つと怒りのピークは収まるそうです。怒りのピークが下がると感情的にならずに冷静に部下に対してやって欲しいことをゆっくりと伝えます。瞑想やヨガも感情が揺れ動いても平静を保つには効果的です。

    そして部下の話をよく傾聴しましょう。職場の内外で訓練をする必要がありますが、「相手の話を遮らずに最後まで聴く」「相手の目を見る」「うなづいたり相槌を打つ」「リピートしたり共感する」などのコミュニケーションスキルを身につけましょう。5分×6回訓練するだけでコツがつかめます。部下役の話を聴いているとつい何か言いたくなるでしょうが、頭の中に「棚」を覆いてそこに言いたいことを置くと言うイメージをすると最後まで部下の話を聴きやすくなります。部下はどんな気持ちなんだろうと思い、最後まで聴いていると棚に上げたことはいつか消えてしまうことも経験するでしょう。これらのスキルを通じて相手のつらく、さみしい気持ちが理解できるようになれば自己中心的な考えは少なくなってきます。従ってパワハラ行動は起きづらくなります.

    3.パワハラのもとになる原因に手を打つ

    パワハラ行動になるのはマネージャー自身が何らかのストレスが溜まっていたり、不満が積もっている事があるので、何らかのもとになる原因に手を打ちます。
    (1)仕事以外にスポーツ、芸術、遊びなどストレス発散することをやる。
    趣味を持つとストレス発散になるし、仕事一色の生活から視点が広がります。スポーツで身体を動かすとストレスが発散されます。カラオケなどで声をお腹の底から出すとまたストレスが発散されます。山や海など自然に接するのはいいですね。ハイキングやスキー、ダイビングは全く環境がが変わるのでお勧めです。心身が開放される楽しいことをやるといいですね。

    (2)何でも話せる人間関係を持つ
    人は孤独になると、ストレスがたまり攻撃性が高まります。自分の考えや感情を分かち合える信頼できる仲間を持つと良いですね。人間づきあいが苦手な方も研修やワークショップに来て自己紹介の後、悩みを困っていることを打ち明けるセッションを持つことがあります。すると「誰にも言えない溜まっている事を言えてすっきりした」「悩んでいるのは自分だけでない、気が楽になった」とという感想を多くいただきます。

    (3)疲れを残さない、十分睡眠をとる
    疲れがあるとストレスが増幅します。体調が悪くても同じですね。自衛隊元メンタルヘルス担当の方のお話によると、睡眠時間が7時間のグループと5時間のグループに分けて1か月間様子を見たら、睡眠時間が短いグループの作業ミスが増え、ストレスも増したそうです。
    睡眠は万病薬と言いますね。ゆっくり睡眠をとって疲れを残さないようにしましょう。

    まとめ

    1.ついパワハラをしてしますマネージャーの特徴は下記の通りです。
    (1)感情が不安定
    (2)自分は特別と言う認識と甘え
    (3)問題解決の手段は暴力、暴言
    (4)無抵抗な人にカサに来て攻撃する
    (5)自分の経験や目標を押し付ける

    2.対応方法は
    (1)パワハラの基本知識を持ち自分に合当てはめる
    (2)深呼吸をして冷静になる。その上で部下の話を傾聴する。
    (3)パワハラのもとを絶つ
     (ストレス発散できる趣味を持つ、何でも話せる人間関係を持つ
    十分睡眠をとる)

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    これらを実践すれば、あなたはもう「パワハラ上司」と言われることはないでしょう。

    次号では「パワハラに合いやすい人の特徴」ご紹介します。

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藤原勝

藤原勝

【経営理念を浸透させることで主体性を引き出すプロデュ―サー】

ビジョンカムトゥルー株式会社 代表取締役。日本ゲシュタルト療法学会公認トレーナー。TA研究部会運営委員長。剣道教士七段。三重県生まれ、大阪育ち。
現場に入り問題解決し、お客様から「どうしてうちの会社の事がそんなにわかるのか」と言われる。経営者の経営理念を基に管理職が中期ビジョンを描き、本気の部下たちを率い実践することで国内外の企業を元気にしたいと想い東奔西走中。

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